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東京高等裁判所 昭和42年(ネ)2115号 判決 1968年11月21日

主文

本件控訴及び附帯控訴はいずれもこれを棄却する。

控訴費用は附帯控訴によつて生じた分を含めこれを二分し、その一を控訴人(附帯被控訴人)の負担とし、その余を被控訴人(附帯控訴人)の負担とする。

事実

控訴(附帯被控訴)代理人は、「原判決中控訴人(附帯被控訴人、以下単に控訴人という)敗訴の部分を取消す。被控訴人(附帯控訴人、以下単に被控訴人という)の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決及び附帯控訴につき附帯控訴棄却の判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決並びに附帯控訴として、「原判決中被控訴人敗訴の部分を取消す。控訴人は被控訴人に対しさらに金三百五十八万円及びうち金三百三十六万円に対する昭和四十二年一月一日から右支払ずみまで年五分の金員を支払うべし、訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。」との判決と仮執行の宣言を求めた。

当事者双方の事実上の主張及び証拠の関係は次に附加するのほか原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。

控訴代理人は、「控訴人及び控訴人所有の普通貨物自動車足四ぬ七一四五号を運転していた小川八郎は自動車の運行に関し何らの過失もなく、右貨物自動車には構造上の欠陥又は機能上の障害もなく、本件事故は専ら被控訴人の重大な過失によつて惹起されたものである。」と述べ、当審証人小川八郎の証言を援用し、被控訴代理人は、当審証人小川八郎の証言及び当審での被控訴本人尋問の結果を援用した。

理由

当裁判所もまた被控訴人の控訴人に対する本訴請求を原判決認定のように金八十九万円及びうち金八十一万円に対する昭和四十二年一月一日から支払ずみまで年五分の遅延損害金の支払を命ずる限度において正当として認容すべく、その余の請求を失当として棄却すべきものと判断するものであつて、その理由は、原判決の理由と同様であるから、ここにその記載を引用する(但し、原判決十三枚目表九行目に「左方」とあるを「右方」と訂正する)。なお、本件事故の発生について控訴人所有の貨物自動車を運転していた小川八郎には何らの過失もなかつた旨の原審及び当審証人小川八郎の証言部分は措信し難く、他に右小川の無過失を肯認するに足る証拠はない。

しからば、原判決は相当であつて本件控訴及び附帯控訴はいずれも理由がないから、これを棄却すべく、控訴費用の負担について民事訴訟法第八十九条、第九十二条及び第九十五条の各規定を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 平賀健太 岡本元夫 鈴木酵一)

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